第３章　男の子と海外留学  (1) ～小さなリセット～

「子どもを物理的に引き離す」と聞くと、一見、悪いイメージはありませんか？しかし、ここでいう「引き離す」は、現実逃避よりも、もっとポジティブなものです。それは少しだけその場から離れる、というもの。友達とお茶をする、ジョギングする、一人のんびり風呂に入る、など、俗にいう「気分転換」です。「気分転換なんて誰だってやっている」と思われるかもしれませんが、同じ気分転換でも、その「質」がポイントになってきます。ここで言う、効果的な「引き離し」は、自分の身体だけでなく、心も放すことがポイント。気分転換は心を休憩させる時間、例えば、ママ友と気分転換にカフェに行っても、そこで愚痴ばかり言っていては、心が悩みの根源から離れることができません。子供と離れている時間も、ずっと子どものことを考え続けている、これが「育児から離れられない感覚」を引き起こしていることがあります。特に、「気になっていること」「悩んでいること」の方が引きずりやすい傾向が強いので、どうしてもモヤモヤした気持ちが四六時中離れられない状態になってしまうのです。

気分転換とは、むしろ、頭を空っぽにしやすくするために、いつもと違う場所へ出向き、いつもと違うことをやるもの、こういう風にとらえた方が効果的な気分転換ができるはずです。

人間は考える動物、それゆえに長けているのですが、それが時にあだとなり、自分を苦しめていることもあるのです。わが子を愛しているからこそ、育児を大切にしていきたいからこそ、あえて、「子供のことを考えない時間」を作る、そうやって小さなリセットを繰り返していくことで、親子とも成長できるのです。

次回はそれを上手に表したお母さんの話を、アメリカに住む現地大学4年生（かれはすでに2年前に外資系コンサルティング会社に就職が内定しています）が、自分の小学生時代の海外体験をもとに話してくれたので、それをそのままお伝えします。