新しい2020年も早いもので今日から2月。Time flies.とはよく言ったものです。先月うれしいニュースがありました。昨年5月に東京・南青山で行いました当センター主催で進行役に尾堂真一日本特殊陶業会長をお招きいたしました「ブロックチェーンに関するシンポジウム」。ここにパネリストとして登壇していただきました　慶應義塾大学生の渡邉創太さんが代表取締役を務めるステイクテクノロジーズ株式会社（旧ステイク株式会社）が　世界で最も著名なブロックチェーン開発会社の1つであるParity Technologies（本社：イギリス）の主導する最先端プロジェクト支援プログラム（Substrate Builders Program)において　第1期メンバーに採択され　支援対象である世界中のPolkadotエコシステムにおいて　10プロジェクトの内の1つへ採択されました。渡邉さん曰く「サッカーに例えるのであればレアルマドリードからJ1のチームがサポートをいただくイメージだと思います。」とのこと。

さて　当センターは　4月の「きりしまオンライン寺子屋」開校に向けて現在作業をすすめております。これは名称のとおり　東京大学を中心とした学生が　鹿児島県霧島市の小・中高生を対象に　テレビ会議システム（オンライン）による個別学習支援をする「現代版寺子屋」プロジェクトです。

そもそものきっかけは昨年9月の当センター主催「渡邉創太さんと行くブロックチェーン北欧スタディツアー」（写真①:左上）です。訪問したエストニアの首都タリンの小学校[スウェーデン統治下時代に当時の国王の名前を冠したGustav Adolfi Gümnaasium（グスタフ アドルフ ギムナジウム, 1631年創立, 写真②右上]での一コマでした。

日本の小学5年生に当たる男児(11才)が　東京大学で情報科学を学んでいる参加者(20才)とVRについて熱く語っている光景がそれです（写真③左下）。エストニアにはこの男児のようなIT Studentと呼ばれる児童が増えつつあります。どのような教育をしているのだろう？という素朴な疑問から調べを進めていきますと　小学1年生から始まる緻密なカリキュラムがありました。さっそくエストニア情報教育の責任者Tartu大学教授と連絡をとり　当センターがエストニアの先生方の協力を得て邦訳することになりました。できれば日本の小学校にも役立てられないかと模索しましたが　文科省の「プログラミング教育の手引書」を読み、これは現状の日本の教育ではまず使用は困難と判断いたしました。理由は当センターのウェブサイトのブログの「エストニア情報教育最前線(4)」でも述べていますが、教育ならびに教員に対する考え方がまるで違うことにあります。しかしこのままでは引き下がれず　優れた「エストニアの情報学とプログラミング教育」を何とかして日本の子どもたちに伝えたいという想いが　このオンライン授業にたどり着きました。遠隔地でこそ　このようなシステムを導入する意義は大きいと思っています。

EU諸国の中で後塵を拝した感のあるエストニアが　情報教育においては　今や先端を走っています。一人当たりのGDPが上昇していることは独立当時から始まった地道な教育戦略の成果だと言って過言ではありません。2018-PISAランキングとＧＤＰ

今回　エストニアと重ね合わせて　この「エストニア発・小学生情報教育とプログラミング入門」のモデル地区を考える上で　新しいものを採り入れる気風の強い鹿児島県　その中でも　日本を代表する企業の工場が複数あり　空港を擁していることが決め手となり　鹿児島県霧島市を選出いたしました。

世界を見渡せば　米国では　オバマ大統領時代　アメリカの子どもたちは小学校から「理系」の教育が推進されるようになりました。「理系・文系」と言っているのは日本を含む東アジアの一部諸国だけです。何かと話題になっている英国も2年前に小学校での「プログラミング教育」が必修化されました。またプログラミング教育ではありませんが　その先にあり　我々の生き方にも関係してくるブロックチェーンについて　中国の習総書記が昨年10月　「ブロックチェーン技術の応用は、新たな技術革新と産業のイノベーションにおいて重要な役割を担う。我が国はブロックチェーンのコア技術を自主イノベーションの需要な突破口として、力を入れていかなければならない」と述べています。

当センターでは　情報教育に関しては世界の最先端を走るエストニアの　体系立てられた情報教育の教材に注目し　日本の優れた情報機材を採り入れて「小学生向け情報教育とプログラミング入門・日本版」を作成いたしました。この実践の場として「きりしまオンライン寺子屋」に一講座を設置いたします。

2050年に生きる子どもたちは世界の大きなうねりの中に呑み込まれてしまわないためにも　ぜひ新しい教育支援にご理解いただきご賛同・ご協力をいただければ幸いに存じます。

エストニアスタディツアー写真

【ご案内】エストニア発「小学生からの情報教育とプログラミング入門」日本版がいち早く鹿児島県霧島市で　予定では4月　先行実施されます。

これは「オンライン寺子屋」の1つの講座としてもうけますが　そのカリキュラムには　エストニア・Tartu大学　リトアニア・Vilnius大学のInformatics （情報学）の大学教授はじめ　このオリジナル版の作成に関わっていたエストニアの現場の先生方　さらには英米・フィンランド・インドネシアなどの先生方にも協力していただいています。